2025年5月に改正された労働安全衛生法により、これまで努力義務とされていた従業員50人未満の事業場においても、ストレスチェックの実施が義務化されることが正式に決定しました。
施行日は2028年5月までに政令で定められる予定です。
ストレスチェックとは
ストレスに関する質問に労働者が回答し、集計・分析することで、その人のストレスがどのような状態にあるかを調べる検査です。
実施頻度:年1回以上の実施が義務
実施者の資格:医師・保健師・一定の研修を受けた看護師や精神保健福祉士
対象者:常時使用する労働者
実施方法:紙またはオンライン
結果の取扱い:本人の同意なく事業者に提供することは禁止、結果は本人へ直接通知、高ストレス者が申し出た場合は医師による面接指導を実施する義務がある
面接指導の実施後:事業者はストレスチェックと面接指導の実施状況を労働基準監督署へ報告する
※ストレスチェックの結果や面接指導の申出を理由に、解雇・降格・異動などの不利益な扱いは禁止されています。
義務化までに必要な準備
1.実施体制の整備
・実施者の選任
・実施事務従事者の確保(担当者)
・衛生委員会の設置(義務ではないが推奨)
2.実施方法の選定
・外部委託
・自社実施
3.社内ルールの整備
・就業規則への記載(ストレスチェックの実施・結果の取り扱い)
・守秘義務・同意取得のルール化
・高ストレス者への面接指導体制
4.従業員への周知と教育
・制度の目的と流れの説明
・同意取得の方法
・結果のフィードバックと職場改善への活用
事業者にとっての意義
労働者のメンタルヘルス不調の未然防止
職場の問題点の把握と職場改善の具体的検討の容易化
労働者のストレス軽減や職場改善の結果、労働生産性の向上・経営面でのプラス効果
この改正は、近年増加するメンタルヘルス不調や精神障害による労災認定件数の増加を背景に、企業規模を問わず、すべての労働者の心の健康を守る体制づくりを推進するものです。ご不明点や対応方法については、ぜひ当事務所までご相談ください。
参考資料
・厚生労働者 働くひとのメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」-ストレスチェック制度について
https://kokoro.mhlw.go.jp/etc/kaiseianeihou/
・厚生労働省「ストレスチェック制度導入ガイド」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/160331-1.pdf














