作成日:2024/10/04
改正される雇用保険法のポイント
2024年の通常国会で改正雇用保険法が成立し、この被保険者となる従業員の範囲が拡大することになりました。施行日は2028年10月1日とまだ先ですが、どのように変わるのかを確認しておきましょう。
雇用保険の適用の拡大
基本手当(いわゆる失業手当)や、育児休業取得時の育児休業給付等を受給できるには、雇用保険の被保険者である必要があります。また、働き方や生計維持のあり方の多様化が進展している中で、週の所定労働時間が短い労働者が増えています。そのような背景から、被保険者の範囲が以下のように拡大されることとなりました。
〈現行〉 週所定労働時間が20時間以上
〈改正後〉 週所定労働時間が10時間以上
被保険者期間の算定基準
基本手当を受給するためには、退職日前2年間に、雇用保険の被保険者であった期間が12ヶ月以上(倒産・解雇等の理由により退職した場合は退職日前1年間に6ヶ月以上)必要になります。ここで「1ヶ月」とする基準も以下のように変更になります。
〈現行〉 賃金の支払の基礎となった日数が11日以上ある月、または賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上である月
〈改正後〉 賃金の支払の基礎となった日数が6日以上ある月、または賃金の支払の基礎となった時間数が40時間以上である月
給付制限の見直し
現在は、自己都合で退職した者が基本手当を受給しようとすると、原則として2ヶ月間の給付制限期間(基本手当が支給されない期間)が設けられています。 今回の改正で、退職した後や、退職日前1年以内に、一定の教育訓練を受講した場合には、この給付制限が解除されることになりました。また、2ヶ月間の給付制限期間を1ヶ月に短縮する通達改正が行われる予定です。なお、現状、5年間で3回以上、自己都合で離職した場合には給付制限期間が3ヶ月となりますが、この点は改正されない予定です。この給付制限の見直しは、適用拡大に先立ち、2025年4月1日に施行されます。