作成日:2024/09/02
退職後も引き続き傷病手当金を受け取る際のポイント
健康保険の傷病手当金を受給している従業員が、職場復帰の目途が立たないことから退職するケースがありますが、一定の要件を満たすことで、退職後も引き続き傷病手当金を受給すること(継続給付)が可能です。
[1]傷病手当金を受給するための要件
傷病手当金は、被保険者である従業員が病気やけがによる療養のために会社を休み、給与を受けられない時に、その所得の補てんとして受けることできるものです。この給付を受けるためには以下の4つの要件のすべてを満たす必要があります。
@ 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
A 仕事に就けない状態であること
B 連続する3日間を含めた4日以上仕事に就けないこと
C 休業した期間について給与の支払いがないこと
※給与の支払いがあっても、傷病手当金の額よりも少額であった場合、その差額が支給されます
※任意継続被保険者である期間中に発生した病気やケガについては、傷病手当金は支給されません
[2]継続給付の要件
[1]の受給要件を満たした上で、退職後も引き続き受給するためには、さらに以下の要件を満たす必要があります。@ 健康保険の資格喪失日の前日(退職日等)までに、被保険者期間が継続して 1年以上あること
A 健康保険の資格喪失日の前日(退職日等)に傷病手当金の支給を受けてい るか、または受けられる状態にあること
Aについて、退職日に引継ぎなどで出勤した場合は、医師による労務不能の証明があったとしても、仕事ができる状態になったと判断され、退職後に傷病手当金を受給できなくなります。
[3]傷病手当金を受給しないまま退職した場合
療養の期間に、傷病手当金を受給しないまま年次有給休暇を取得し、退職となるようなケースについて、傷病手当金の受給は、連続する3日間の待期期間と4日目以降に傷病手当金を受給できる状態であれば、傷病手当金を受給していなかったとしても、退職後に申請、受給することが可能です。年次有給休暇を取得して退職したときは、給与が支払われていることになるため[1]のCの要件について該当せず、受給できる状態であるものの、不支給という判断が行われます。退職後はCの要件を満たすため、支給が開始されます。