お知らせ
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作成日:2023/05/10
副業・兼業の取り扱いについて



厚生労働省では、「働き方改革実行計画」を踏まえ、副業・兼業を希望する労働者が、適切な職業選択を通じ、多様なキャリア形成を図っていくことを促進するため、令和4年7月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定しました。

基本的な考え方

裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当です。 副業・兼業を禁止、一律許可制にしている企業は、副業・兼業が自社での業務に支障をもたらすものかどうかを今一度精査したうえで、そのような事情がなければ、労働時間以外の時間については、労働者の希望に応じて、原則、副業・兼業を認める方向で検討することが求められます。

副業・兼業の禁止又は制限

裁判例においては、

  • 労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であること
  • 例外的に、労働者の副業・兼業を禁止又は制限することができるとされた場合として、以下4点が認められています。 

 @労務提供上の支障がある場合
 A業務上の秘密が漏洩する場合
 B競業により自社の利益が害される場合
 C自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合

このため、就業規則においては、以下のような対応が考えられます。

原則として、労働者は副業・兼業を行うことができること
例外的に、上記@〜Cのいずれかに該当する場合には、副業・兼業を禁止又は制限することができることとしておくこと

また、労働者の副業・兼業が形式的に就業規則の規定に抵触する場合であって          も、懲戒処分を行うか否かについては、職場秩序に影響が及んだか 否か等の実質的な要素を考慮した上で、あくまでも慎重に判断すること


留意点

副業・兼業の場合には、以下の4点に留意する必要があります。

1.安全配慮義務

「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」(労働契約法第5条)とされており、副業・兼業の場合には、副業・ 兼業を行う労働者を使用する全ての使用者が安全配慮義務を負っています。

懸念されるケース・・・
使用者が、労働者の全体としての業務量・時間が過重であることを把握しながら、何らの配慮をしないまま、労働者の健康に支障が生ずるに至る など。

考えられる対策・・・
・ 就業規則、労働契約等において、長時間労働等によって労務提供上の支障がある場合には、副業・ 兼業を禁止又は制限することができることとしておく
・ 副業・兼業の届出等の際に、副業・兼業の内容について労働者の安全や健康に   支障をもたらさないか確認するとともに、副業・兼業の状況の報告等について労働者と話し合っておく
・副業・兼業の開始後に、副業・兼業の状況について労働者からの報告等により把   握し、労働者の健康状態に問題が認められた場合には適切な措置を講ずる

また、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」(労基法第 38 条第1項)と規定されており、事業主を異にする場合をも含むとされています。(労働基準局長通達(昭和 23 年5月 14 日付け基発第 769 号))

2.秘密保持義務

労働者は、使用者の業務上の秘密を守る義務を負っています。

懸念されるケース・・・
・自ら使用する労働者が業 務上の秘密を他の使用者の下で漏洩する
・他の使用者の労働者(自らの労働者が副業・兼業として他の使用者の労働者である場合を含む。)が他の使用者の業務上の秘密を自らの下で漏洩する

考えられる対策・・・
・就業規則等において、業務上の秘密が漏洩する場合には、副業・兼業を禁止又は制限することができることとしておく
・副業・兼業を行う労働者に対して、業務上の秘密となる情報の範囲や、業務上の秘密を漏洩しないことについて注意喚起する

3.競業避止義務

労働者は、一般に、在職中、使用者と競合する業務を行わない義務を負っていると     解されています。

 懸念されるケース・・・
・自ら使用する労働者が他の使用者の下でも労働することによって、自らに対して当該労働者が負う競業避止義務違反が生ずる
他の使用者の労働者を自らの下でも労働させることによって、他の使用者に対して当該労働者が負う競業避止義務違反が生ずる

考えられる対策・・・
・就業規則等において、競業により、自社の正当な利益を害する場合には、 副業・兼業を禁止又は制限することができることとしておく
・副業・兼業を行う労働者に対して、禁止される競業行為の範囲や、自社の正当な利益を害しないことについて注意喚起する
・他社の労働者を自社でも使用する場合には、当該労働者が当該他社に対し て負う競業避止義務に違反しないよう確認や注意喚起を行う

4.誠実義務

労働者は使用者の名誉・信用を毀損しないなど誠実に行動することが要請されます。

考えられる対策・・・
・就業規則等において、自社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合には、副業・兼業を禁止又は制限することができることとしておく
・副業・兼業の届出等の際に、それらのおそれがないか確認する

 厚生労働省-「副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和4年7月改定)」より抜粋
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000962665.pdf

   

   
    
    

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